2025年に入ってからの自動運転業界の動向についてまとめました。
2025年に入ってからの自動運転業界には、技術革新、市場拡大、法規制の整備など様々な面で大きな進展が見られています。ここでは、最新の動向を網羅的に紹介します。
技術開発の進展
レベル3自動運転の実用化拡大

2025年現在、レベル3(条件付き自動運転)の実用化がさらに進展しています。現時点でレベル3技術を実装しているのは、以下の4社です:
- ホンダ:2021年に世界初のレベル3車両(新型レジェンド)を発売
- メルセデス・ベンツ:2025年春から最高時速95キロでの走行可能なDRIVE PILOTを提供開始
- BMW:2024年に7シリーズに「Personal Pilot L3」をオプション追加
- ステランティス:2025年2月に「STLA AutoDrive 1.0」を発表
矢野経済研究所の予測によると、レベル3搭載車は2025年には40万台に達し、2030年には625万台へと急増する見込みです。富士キメラ総研も同様に、2024年の30万台から大きく拡大し、2045年には2,409万台に至ると予測しています^1。
レベル4への移行とロボタクシーの展開

レベル4(高度自動運転)については、米国と中国を中心に実用化が進展しています。特に注目すべきは以下の動きです:
- Waymo(Google系):米国でロボタクシーサービスを拡大中
- 百度(Baidu):中国の複数都市でドライバーレスタクシーを運行
- テスラ:2026年に「Cybercab」と呼ばれるロボタクシーの生産開始予定
テスラCEOのイーロン・マスク氏は「膨大な学習データがあれば、人間よりも優れた運転ができる」と述べ、2025年にはテキサス州とカリフォルニア州で、既存のModel 3とModel Yで運転者の監視不要な自動運転を実現する計画を示しています^2。
新たな規制と取り組み
自動運転車優先レーンの設置
2025年3月、国土交通省は新東名高速道路に自動運転車優先レーンを設定しました。駿河湾沼津SA~浜松SA間約100キロが平日夜間限定で優先レーンに指定され、実証実験が始まっています。
これは自動運転トラック実用化に向けた重要な一歩で、2025年以降は東北道の6車線区間などにも拡大する予定です。将来的には東北から九州を結ぶ自動運転網の構築を目指しています^3。
自動運転バスのリース制度
デジタル庁のモビリティワーキンググループでは、自治体向けに自動運転バスのリース制度の導入が検討されています。現状、自動運転バス導入には以下のような高額な初期費用が障壁となっています:
- 車両費用:1台あたり約5,500~8,000万円
- 3Dマップ・走行ルート作成:1カ所あたり1,000~2,000万円
- 遠隔監視設備や充電設備なども別途必要
リース制度を通じて、これらの初期コスト問題を解決し、全国の自治体での導入を加速させる狙いがあります^3。
市場動向と予測
自動運転車の市場規模

Fortune Business Insightsによると、自動運転車の世界市場規模は以下のように急成長しています:
- 2022年:1,500億ドル
- 2023年:1,921億ドル
- 2030年(予測):1兆3,632億ドル(CAGR 32.3%)
特に自動運転タクシー市場は、SNS Insiderの調査によれば2022年の16億8,000万ドルから2030年には1,105億ドル(約16兆円)へと、年平均成長率約80%という驚異的なペースで拡大すると予測されています^1。
自動運転バスの将来性
自動運転バスについても普及が進むと見られています。BOLDLYによれば、自動運転バス6,000台規模の量産化が実現すれば、導入及び10年間の運用コストが既存の手動バスを下回るとされています。
MM総研の調査では、国内の自動運転バスは2040年に7,000台規模に成長する見込みです。この実現には、量産化と一人のオペレーターが複数台を管理できる環境の構築が鍵となります^3。
関連デバイス市場の拡大
自動運転の普及に伴い、関連デバイス市場も大きく拡大しています:
- LiDAR市場:2024年の936億円から2045年には3兆6,476億円へ(富士キメラ総研)
- 自動運転AIチップ市場:2025〜2031年にCAGR 22.5%で成長(Lucintel)
- 高精度3次元地図市場:2020年の11億ドルから2027年に75.6億ドル(Report Ocean)
今後の展望
現在の自動運転技術は「形式的レベル4」と呼ばれる段階にあり、今後は監視体制の最適化や一人のオペレーターが多数の車両を管理できる「実質的レベル4」へと進化していくことが期待されます。
また、AIの急速な進化により、より安全で効率的な自動運転システムが開発され、特にテスラが推進するカメラベースのEnd-to-Endアプローチが成功すれば、自動運転のコストが大幅に低減する可能性もあります^2。
日本国内では高速道路の自動運転優先レーンの設置や自動運転バスのリース制度など、インフラ面や制度面の整備が進むことで、社会実装がさらに加速すると見られています。
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